2026.03.18飛行許可・承認
ドローンをはじめとする無人航空機の活用が広がる中、「飛行許可・承認」の有無がもたらすリスクや影響について理解することはとても大切です。必要な申請をせずにドローンを飛ばした場合、法令違反による罰則や損害賠償責任、社会的信用の喪失など、個人や企業を問わず深刻な影響が及ぶ可能性があります。また、一部の違反行為が産業全体のイメージ低下、さらなる規制強化に繋がるおそれも。安全かつ健全な空の利用のため、適切な手続きをしっかり守りましょう。
飛行許可・承認とは何ですか?どんな場合に必要になるのでしょうか?
飛行許可・承認とは何か
近年、ドローンをはじめとした無人航空機が急速に普及し、個人や企業、自治体など様々な場面で利用されるようになっています。
こうした流れの中で、「飛行許可・承認」という言葉を耳にすることが増えました。
飛行許可・承認は、無人航空機を飛ばす際に法律で定められた一定のルールや条件下で、国や自治体から正式に飛行が認められることを意味します。
飛行許可と承認は混同されがちですが、厳密には異なる意味があり、それぞれ対応する法的根拠や申請手続きもあります。
そもそも日本の場合、ドローンの飛行に関わる主要な法律は「航空法」および「小型無人機等飛行禁止法」などです。
これらは無人航空機の安全な運用や、第三者の生命・財産の保護、航空機との安全距離の確保などを目的に定められています。
飛行許可・承認が必要になるケース
多くの人が「自分の庭や山中でドローンを飛ばす場合にも許可や承認が必要なのか?」と疑問に思うことがあります。
実際には、場所や飛行方法、時間帯によって飛行許可や承認が必要となる場合とそうでない場合があります。
以下に代表的なケースを紹介します。
空港周辺や人口集中地区(DID)での飛行
航空法では、以下のエリアでの無人航空機(ドローン)飛行には原則として「飛行許可」が必要とされています。
- 空港等の周辺空域:滑走路から一定範囲内(約6km以内など)の上空を飛行する場合、航空機との衝突リスク回避のため許可が必要です。
- 人口集中地区(DID):市街地などの人口密集エリアは事故発生時のリスクが高いため、国土交通大臣の許可を得なければなりません。DIDは国土地理院の地図サービスで簡単に確認できます。
これらの空域は航空機の離着陸や、多くの人々が生活している場所に該当するため、安全対策の観点から厳しく制限が設けられています。
飛行方法による承認が必要な場合
場所だけでなく、どんな方法でドローンを飛ばすかによっても「承認」が必要なケースがあります。
以下のような飛行方式が該当します。
- 目視外飛行:操縦者が実際に目で確認しないままドローンを操縦する場合。FPVゴーグルやカメラ映像経由で飛行する場合がこれにあたります。
- 夜間飛行:日没から日の出までの時間帯に飛行する場合。夜間は見通しが悪くなるため、事故のリスクが高まり承認が必要とされます。
- 人または物件から30m未満の距離を保てない飛行:第三者や建物、車両などから30m以上の距離を維持できない場合、安全配慮義務から承認申請が必須です。
- イベント会場など多くの人が集まる場所での飛行:祭りや運動会、イベントスペースなど群集上空での飛行も承認対象となります。
- 危険物の輸送や物件投下:ドローンを使って危険物を運搬したり、物を落としたりする場合も法律で特別の承認を必要とします。
これらは、技術トラブルや予期せぬ操作ミスなどがあった場合、第三者への被害を最小限に抑えるために設けられているルールです。
許可・承認を得ずに飛行した場合のリスク
許可・承認が必要なケースでこれらを得ずにドローンを飛行させてしまった場合、航空法や小型無人機等飛行禁止法などの関連法令違反となり、行政指導や罰則、時には逮捕などの法的処分が科されることもあります。
ドローンの利用が拡大する中で悪質な違反が相次いだことから、現在では規定違反には厳しい監視体制が敷かれています。
また、もし許可や承認のないまま飛行を行い、事故やトラブルが発生して損害を与えた場合、保険の適用対象外になったり、損害賠償責任を負うリスクもあります。
安全のため、必ず必要な手続きを済ませてから飛ばすことが重要です。
飛行許可・承認の取得手続き
許可・承認の申請手続きは、国土交通省などの担当行政に「無人航空機飛行許可・承認申請書」を提出する形が一般的です。
従来は書面提出が主流でしたが、現在ではオンライン申請システム(DIPS:ドローン情報基盤システム)による申請が主流となっています。
申請には以下のような情報が必要です。
- 飛行する機体の種類や登録番号
- 操縦者の氏名や連絡先、保有資格
- 飛行予定日時や場所の詳細(地図添付が推奨)
- 飛行目的や内容
- 安全対策や運用マニュアル
申請内容によっては、追加資料の提出や、状況説明が求められることもあります。
審査後、特に問題がなければ「許可・承認書」が交付され、これを携行して飛行します。
申請から交付までには、おおよそ10日から2週間程度かかる場合が多いです。
飛行許可・承認の実務ポイント
ドローン飛行の現場では、「この場合は許可や承認が必要かどうか」で迷うことも多々あります。
例えば、公園の上空や山林、施設敷地内でも「DID侵入」「イベント上空」など条件により許可・承認の対象となることがあり、事前確認が欠かせません。
また、自治体や施設独自の飛行ルールや禁止規定が設けられている場合もあるため、法律で許可されていても、念のため管理者の許可を得る意識も重要です。
さらにビジネスユースの場合は、業務リスク管理の一環として、飛行ルール策定や操縦者教育、保険加入なども並行して進めると良いでしょう。
まとめ
ドローンなど無人航空機の飛行にあたっては、事前の飛行計画確認、許可や承認の取得、関係者への周知といった丁寧な対応が結果的に安全・トラブル回避につながります。
法令やルールは随時改正されるため、常に最新の情報を確認しながら適切な手続きを行いましょう。
飛行許可・承認は、空の安全と安心、第三者や社会への配慮を形にするための大切なステップであると言えます。
飛行許可・承認の申請方法や手続きはどうすればよいですか?
申請をスムーズに進める事前準備のポイント
飛行許可・承認の申請をする際、書類の準備や入力内容に不備があると、申請が差し戻されたり審査が長引いたりします。
スムーズに進めるためには事前準備が大変重要です。
具体的なポイントを以下にまとめました。
- 最新の法令や運用基準を確認し、申請内容がルールに則っているか確認する
- 飛行場所の地図(座標情報)、予定日時、使用機体の型式・製造番号など、必要な情報を整理しておく
- 操縦者の技能証明や保険加入証明など、添付書類に不備がないか事前チェックする
- 複数名でローテーション操縦する場合など、操縦者ごとの情報も正確に記載する
- 必要に応じて地権者や関係各所との調整(例えば、イベント上空や第三者の敷地で飛行する場合の同意・許可)も進めておく
これらの準備がしっかりできていれば、システムでの入力作業もスムーズでミスも少なくなります。
DIPS申請時に迷いやすい入力内容の解説
DIPS(ドローン情報基盤システム)でオンライン申請をする際、以下の点で迷いやすい方が多いです。
飛行場所の入力方法
飛行予定地を地図上で範囲指定する必要があります。
住宅地や都市部では正確な範囲指定が難しい場合があるため、緯度・経度を複数点指定するなどで「実際に飛ばす場所」が明確になるよう設定してください。
範囲が広すぎたり、曖昧だったりすると申請が通りにくくなります。
飛行目的の選択
空撮、測量、農薬散布、点検、イベント等、具体的な目的を明確に選びます。
漠然とした記載や内容にそぐわない選択は差し戻しの原因になりやすいので注意しましょう。
飛行方法・条件
「目視外」「夜間」「第三者上空」「物件投下」など、該当する飛行方法には必ずチェックをつけます。
不明な場合は国交省のQ&Aや関連ガイドラインを確認し、自分の飛行内容に合ったものを選択してください。
添付書類の形式・容量
添付ファイルはPDF推奨かつファイルサイズ制限があります。
手持ちの画像ファイルやスキャンデータを圧縮して、確実にアップロードできる容量に調整しましょう。
飛行計画の時刻と期間
「〇月〇日から〇月〇日まで」のような期間指定や、特定日のピンポイント指定もDIPSで入力できます。
頻繁に飛行する場合や、不定期に繰り返し飛行するケース(例 毎週末、など)は、おおよその日程や繰り返し予定を備考欄で補足説明しておくと審査がスムーズです。
申請の審査でチェックされる主なポイント
- 提出書類の整合性(日時や場所、機体・操縦者の情報が一致しているか)
- 法令・運用基準への適合状況
- 安全対策や緊急時の対応策、第三者等へのリスクの低減策
- 特例を申請する場合の理由や詳細な対策
特に、夜間や目視外の飛行、人口集中地区(DID)内やイベント上空など、高リスク飛行の場合はより詳細で具体的な安全対策の記載が求められます。
テンプレートの流用やコピペではなく、実際の現場状況に即した記載が意識しましょう。
申請にかかる期間と注意点
通常、オンラインで申請してから許可・承認取得まで1~2週間程度かかります。
ただし、内容に不備があったり、混雑期の場合はさらに延びることもあります。
イベントや業務など、飛行予定が決まっている場合は十分余裕をもって申請してください。
また、頻繁に申請&飛行を行う場合は、更新時期や許可期限の管理をしっかり行いましょう。
期限切れで飛行した場合は重大な違反となります。
優先承認制度や包括申請の活用も検討
定常的に同じ場所・方法で飛行する方や事業者の場合、個別申請ではなく包括申請や優先承認制度の対象になるケースがあります。
これらを活用すれば手続きの負担や待ち時間が大幅に軽減されます。
- 包括申請=複数回・複数場所の飛行計画をまとめて一括で承認申請する方法
- 優先承認=特定の条件を満たす場合に、個別より迅速に承認される特例
詳細は国交省のホームページやDIPSシステムの案内ページで確認できます。
業務で頻繁に飛行予定がある場合は、これらも積極的に検討してみてください。
申請後も注意が必要!現地で守るべきポイント
無事に許可・承認を取得した後も、現地で以下の点をきちんと守ることが重要です。
- 許可書・承認証は必ず現場にも携行し、提示を求められた場合に即応できるようにする
- 計画と異なる内容・位置で飛行しない
- 第三者の近くで飛行するときは警備員の配置やバリケード設置など、安全対策を徹底する
- 事故や緊急時の対応手順を事前に決めておく
- 場合によっては、飛行計画の通報や完了報告なども忘れずに行う
これらを守ることで、安全かつ法令違反のリスクも最小にできます。
まとめ:しっかり準備して安全な空の利用を
飛行許可・承認の申請は手間がかかるように思えますが、ポイントさえ押さえればスムーズに手続きできます。
飛行内容や現場の状況に合わせて、必要な情報と安全対策をしっかり整理し、ルールを守って申請しましょう。
安全で快適なドローン活用のためにも、事前準備と適切な運用がとても大切です。
飛行許可・承認がない場合にどのようなリスクや影響がありますか?
飛行許可・承認を得ずに飛行する場合のリスクとは
ドローンなどの無人航空機を飛行させる際には、法律で定められた許可や承認が必要となる場面が多くあります。
これらを怠った場合、単なるルール違反にとどまらず、さまざまな深刻なリスクや影響が生じます。
ここでは、実際に許可・承認を取らずに飛行してしまった場合、どのような問題が発生し得るかを具体的に解説します。
行政・刑事罰だけで終わらない社会的な影響
無許可で飛行すると、まず航空法違反となり、行政指導・命令や罰金、最悪の場合には懲役刑などの刑事罰を受けるリスクがあります。
しかし、こうした法的ペナルティに加え、社会的信用の失墜といった重大な影響が避けられません。
例えば、企業や団体が業務のために無人航空機を飛行させていた場合、無許可飛行が発覚すると、取引先や顧客との信頼関係が損なわれることになります。
マスメディアなどで報道される事例も多く、行政の処分内容はニュースサイトや自治体の公報等に掲載され、長期間にわたり情報が残ります。
損害賠償や保険の問題
無許可飛行中の事故で第三者にケガや財産被害を与えてしまった場合、民事上の損害賠償責任が生じます。
特に許可・承認が必要な飛行での事故やトラブルでは、ほとんどの損害保険が「違法行為中の事故」を理由に適用外とされる可能性が高いです。
そのため、被害額が多額だった場合にも自腹で支払うほかありません。
無保険状態での事故対応は、個人だけでなく企業や団体そのものの存続にもかかわる大きなリスクです。
事故・トラブル発生時の行政対応と業務停止
無許可での飛行中に事故やトラブルが起きた場合、警察や国土交通省への対応・事情聴取が必要となり、長期間にわたり調査を受けることも珍しくありません。
加えて、同一エリアや同じ方法での新たな飛行が認められなくなったり、業務自体が全面的に停止される可能性も生じます。
このような事態になると、関連する事業やプロジェクトの遅延だけでなく、人員調整や対応に多くの労力・コストがかかることになりかねません。
地域社会や第三者への悪影響
無許可の飛行が報道されると、地域住民や周辺自治体にも不安や疑念を与えることになります。
「ドローン=危険」「企業として管理が杜撰」というイメージがつきやすく、今後の円滑な事業進行に大きな障害となります。
特に公共インフラや行事、イベントでの飛行の場合、自治体等の窓口で「過去に無許可飛行の問題があった」ことが共有されると、今後の利用許可が非常に厳しくなったり、審査過程が長期化したりするケースもあります。
技術発展や産業活用への逆風
ドローンや無人機のテクノロジーは、物流・点検・測量・災害対応など、さまざまな分野で社会に貢献しています。
しかし、許可・承認を無視した無秩序な運用やルール違反が続くと、業界全体のイメージ悪化や規制の強化を招きます。
1件のトラブルによって、将来の利活用の道が狭まるのは業界全体にとって大きな損失です。
社会全体で「安全第一」を守るためにも、個々人および事業者が正しく許可・承認を取得し、ルール遵守の姿勢を徹底することが求められています。
緊急時や特別な場面での優遇措置喪失
自然災害や事故調査等、緊急時や社会的意義の高い場面でのドローン活用が注目されています。
こうした際、過去に無許可飛行の履歴や問題がある団体・個人は、行政機関からの「特例での許可」や「優先申請扱い」といった恩恵を受けられなくなる場合がほとんどです。
信頼を積み重ねてきた運用者・企業は、スムーズな申請や対応が可能になりますが、一度無許可飛行を行った履歴があると今後のチャンスを自ら閉ざすリスクが高まります。
まとめ:無許可・無承認の飛行は多大な損失を招く
ここまで見てきたように、飛行許可・承認なしの飛行はいかに多くのリスクを秘めているかが分かります。
「ばれなければ大丈夫」という安易な気持ちで臨むと、思わぬ高額な賠償や社会的信用の喪失、業界全体の発展機会の棄損など、取り返しのつかない影響につながりかねません。
安全かつ健全な空の利活用を進めるためにも、飛行の際は必ず必要な許可や承認を取得した上で、法令・ルールを守って安心して楽しみ・活用していくことが大切です。
最後に
ドローンなど無人航空機を飛ばす際には、航空法などの法律により空港周辺や市街地(人口集中地区)では国や自治体から飛行許可が必要です。
場所や飛行方法によっては許可がいらない場合もありますが、事故防止のためのルール遵守が求められます。

